1月28日 アトヨッカ

クプカさんのちいさな潜水艦についてです。

個展情報はコチラです。






















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ぼくは映画の予告編ってものが好きじゃないです。

なぜなら、あまりにも本編の内容を表現しすぎていて、「だいたい犯人の目星ついちゃったじゃん」とか「ほんとの親子じゃないことわかっちゃったじゃん」みたいなこともあるし。

また、予告編では「感動の愛の物語」みたいな印象を与えるように作ってたのに、いざ本編見たらなんかすんごいブラックコメディーだった…みたいなこともあるし。

なので、映画を見る前に予告編を見ることはなるべく避けています。
(予告編は映画を観終わったあとに見ます。)

それくらい苦手なんですけど、言い換えれば、予告編は本編とは完全に別個の強いインパクトを持ったエンターテイメントだとも思っています。

たまに予告編を先に見てから本編を見てみたら、「なんだ予告編の方が面白かったな〜」ってこともあります。

では、
「2時間ひたすらつまらなくて後味も悪い映画」と「数分間なんかちょっと楽しい予告編」を比べたら、すぐには優劣をつけることができないくらいに、どちらの価値も均衡しているのではないだろうか、と思いはじめました。



じゃあ、ぼくは映画を作ることはできないけど、予告編だけでも一生懸命作れば、クソつまんない映画よりはおもしろく…なる……の……かも…………
……知れないって思えるほどの自信もなかったので、予告編以外にもオフィシャルサイトとか、出演者のインタビューとか、映画に付随する「本編以外のほとんどのもの」もいろいろ付け加えて、クプカさんを見てくれた人に、「映画みたいなものを見た気分」になってもらえたら、うれしいなと思って作りました。




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『クプカさんのちいさな潜水艦』なんて映画は存在しないし、ヤロスラフ・イェジェク監督もいないし、ハンス・モーリッシュは映画『イケメン・フィーバー!〜毎日がLOVE CHANCE〜』で人気に火がついてないし、フランツ・ヴェルフェルの兄は映画『ファイナル・クッキング3〜知られざる秘伝の隠し味〜』で有名なトマーシュ・J・ヴェルフェルではない。



 こういう、完全なウソの世界を作るってことが、制作途中、「これ、ものすごくくだらないことをやってるのかも…」と疑問に思いはじめて制作の手が止まってしまったこともあります。

ちょうどそんなとき、友達に誘われて水谷千恵子のリサイタルに行きまして、すごく面白くて大感動しまして、「隙間なく思いっきりウソの世界を作れば面白いはず」と心を新たにしまして、制作を再開できました。


単にウソの世界を作ってもきっとくだらない。
水谷千恵子の場合は「歌のうまさ」が核にあるから、周辺の世界が成立している。
クプカさんの場合は「予告編」がしっかりとした核にならなければすべてグラつく、と思ったので、予告編にはとにかく力を入れました。


つまり、長々と何を書きたかったかというと、チエ姉ありがとう!ってことです。