映画「ナチュラルウーマン」

四コマ映画「ナチュラルウーマン」 →

舞台はチリ。主人公はマリーナという女性。
恋人のオルランドから誕生日会を開いてもらった夜、オルランドは突然死んでしまう。



マリーナがトランスジェンダーの女性であったことで、あらぬ疑いをかけられて警察から執拗で残酷な取り調べが行われる。
また、オルランドの元妻と息子からは「通夜も葬儀も来るな」「父の物を盗むなよ」とありえないことを言われる。

哀しいのはマリーナがこういう扱いにちょっと慣れているところ。これだけでも異常なのに、これくらいのことだと怒りを堪えて我慢してしまう。それが悲しかったです。
そんなマリーナに対してさらに調子に乗って周りの人間が色々やって来るから、さすがに爆発するのでそのシーンは痛快!

リーナを演じるのは自身もトランスジェンダーのダニエラ・ヴェガ。
映画の中でも歌手ですが、ご本人も本業は歌手。歌声があまりにきれいなので「口パクか?」と思っていたら地声だったんですねぇ。。
ラストで歌う「オンブラ・マイ・フ」は素晴らしい。日本語の訳詞がこの映画のテーマにもなっていてラストでごっそりとまとめ上げています。

全体的には抑えた演技ですけど、抑えきれない感情が表情に溢れるシーンが素晴らしいし、爆発したときの勢いの良さは個性的です。
今後は普通に007とか出てくれたらどれほど面白いだろうと思っていたら、ダニエラ・ヴェガさんはすでに女性の役で次の映画の撮影も済ませているとのこと。
これほどきれいで存在感あって歌もうまくて演技もできるんだから、映画界をまたさらに豊かにしてくれることでしょう。


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イラストにも描いた、強い向かい風に吹かれてマイケル・ジャクソンのように45度くらいに前傾になるシーンを始め、印象的で隠喩的なシーンがたくさんあります。
一人の女性の心情を追った映画でもあるし、サスペンスでもスリラーでも社会派でもあって色々な面で感情を揺さぶられます。

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ベルリン国際映画祭脚本賞受賞。ゴールデングローブ賞外国語映画賞候補。アカデミー外国語映画賞チリ代表。