映画『心と体と』

映画『心と体と』


減点するところが見当たらないんですが。。

冒頭とラスト手前にビックリ描写があるんですが、それも毎日あるところで、または日常的にどこかでは行われていることですし。

特に冒頭のは本当に心がガンガン揺さぶられるのですが、その後の何気ない生活描写や森の中の映像にものすごく深い意味を感じるようになります。

『心と体と』http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=1998

物語としてはオーソドックスなラブコメの作りです。
この2人のやり取りは誰もが共感するし、至る所で笑えると思います。

ハンガリー映画ですが、淡々としたギャグが日本人でも普通に通用するので、笑うところでは笑ってビックリするところではビックリして泣けるところで泣ける映画だと思います。


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映像が常に素晴らしくキレイなのですが、特に鹿パート。
所々で挿入される森の二頭の鹿の映像がまぁ美しい。

かなりの接写で撮っていて、呼吸によって肺が広がってそんで背中が盛り上がってそれによって腰のあたりの筋肉もちょっと動いて、もちろんそれにつられて毛も動いて…っていうひとつひとつが美しい映像で見せられる。

「生きてるって動くってことなんだな」とものすごく単純なことを説得力ある映像、というか鹿という〝命〟を見せられて強く感じる。

オス鹿がメス鹿がモーションかけてフラれた時のオス鹿の目が、完全に告白してフラれた男子の目になっていて可笑しい。

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目の描写にインパクトがあって、野生の鹿との対比として食品加工会社にいる牛の目。
この牛が空を見上げる目。。。勘弁してください。。と思う。。

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水の中で氷がカラカラとぶつかる音を使った音楽も素敵。寒々しいんだけどどこか滑稽だし生活感もある。
自然の音なんだけど、生活の中でもよく聞く音でもあって、これはこの映画のテーマに沿うものだと思う。


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会話や仕草のひとつひとつが丁寧で、意味があって見ていてほんと感心します。

モテ男が主人公の女性を口説いているシーンで、サッと通り過ぎるモブの女性がそれを見て「は〜ぁ」とため息を着く仕草をしてたり。
これだけで、このモテ男が普段から誰彼構わず声かけてるのがわかるしそれが周囲からは疎まれていることもわかる。

主人公の女性がCDショップで視聴するシーン、あれもなくてもいいけどあれがあることで女性の特性がより強調されるし、店員さんの対応にもグッと来るし、最終的に選ばれた歌も力が増す。


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自信をなくておそらくスランプに陥ったのであろう分析医さんや、昔モテモテだったっぽい掃除婦のおばあさん。
主人公の男性のこと好きだったっぽい女性同僚や。
〝本当の犯人〟が最後に明かされることによってモテ男が結構繊細な男だったことがわかったり。

登場人物は少ないけど、みんな多面的で面白い。


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そして、こういう上品で面白い周囲に囲まれながら進行していく主人公2人のラブストーリーは驚くほどにオーソドックス。

老齢に差し掛かり生きる希望もない男性と心にちょっと事情があり対人関係が苦手な女性の恋。
この2人が同じ夢を見ているというのは考えてみればだいぶメルヘンなのですが、
映像のすごさとか人物描写の的確さから言って全然違和感なく受け入れてました。

その夢の描写がまた凄いしね。。


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この映画で得られるメッセージはたくさんあって、一体どれを受け取ればいいのだ!と悩むかもしれませんが、ご自分が感じたことそのままでいいんだと思います。

人間は考えすぎ。たまには動物のように一瞬一瞬を生きてもいいのかも。



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マリーアを演じる女優さんも常人ならざる感じで素敵なんですが、エンドレを演じる俳優さんが凄い。

当然ハンガリーの名優なのかと思って観ていたら、演技経験のない「翻訳家、編集者」の方だそう。
表情の細やかさとか存在感とか風格とか、演技経験なくてこんなことできちゃうの??驚き。。


『心と体と』http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=1998






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