『ニンジャバットマン』



『ニンジャバットマン』(2018年製作の映画)

バットマンとタイムボカンとバーフバリを足して3で割るの忘れた怪作!

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DCは暗いスーパーヒーロー物ばっか作ってイマイチですね。
『ワンダーウーマン』の軽さやギャグはよかったけど、それ以降も呪縛を解けなかった。
そんな中で「一抹の希望」を託したのが『ニンジャバットマン』。
「バットマン」「タイムスリップ」「忍者」という組み合わせに可能性を見出して指導したこの企画。
バットマンたちが日本の戦国時代にタイムスリップ!?という正気じゃない企画をちゃんと最初から最後まで正気じゃない映画として完成させたのが素晴らしい。
嬉しい!こんな世界レベルの狂作が日本から生まれるなんて。

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キャットウーマンのクビにドラ○もん的な金色の鈴が付いていたり、宣教師に扮したバットマンのサビエル風に禿げた頭頂部にバットマークが付いていたりと、細かいところまでギャグが効いてるし、テンポもいい。
ハーレイ・クインはいつもは金属バット持ってるけど、今回はでんでん太鼓。
ジョーカーが持ってる扇子の柄がちゃんとジョーカー柄だったり、本当に細かいところまで気を使ってる。
で、ギャグ自体も上品。ズッコケみたいな笑いじゃなくて、「本人はいたって真剣」だからこそ笑える。
バットマンが茶室で正座してアルフレッドが出したお茶飲んでんだから、こんなのギャグに決まってんじゃん。

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ジョーカーが尾張の領主(つまり信長)になる(なにこの話…)。で、ちゃんとハーレイ・クインが森蘭丸っぽい服装になってるのも良い。
信長の次に秀吉が天下統一するという歴史的事実があることを考えると、今回ジョーカーが信長になることにも意味がある。秀吉ってつまり猿でしょ。で、猿の王国にする!っつってるわけだから。
「尾張(OWARI)の意味を知ってるか!THE ENDだ!俺にぴったりだ!」というセリフもあって、全体的にちゃんと考えてある。

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で、全部わかった上でのラストのトンデモロボット対戦な訳ですよ。
タイムボカンなわけですよ。笑えば良いんですよ。タイムボカン観たら笑うでしょ。
完全に日本を茶化し切ってる!これくらいやりきったで突き抜けてぶっ壊れた映画じゃないと世界には刺さらないよ。大ヒットはしないだろうけど、多くの人の心にはグッサリ刺さったはず。

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ちょっと『かぐや姫の物語』っぽいとこがあったり、「お前がそうすることを俺が予想していなかったと思うか!」っていう展開は『ジョジョの奇妙な物語』っぽい、豪快な戦い方や重力無視感は『バーフバリ』っぽい、「土は良い。悪いものを吸い取ってくれる」というセリフは「土から離れては生きられないのよ!」というきっとラピュタへのオマージュ(考えすぎ)。
多分気づいてないところでいろんなアイデアがあるんだろうな。

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僕はこの『ニンジャバットマン』という荒波を乗りこなして楽しみきって、今サーファーの気分。