映画『アメリカン・スリープオーバー』

映画『アメリカン・スリープオーバー』
2016年8月27日(土)公開,96分,アメリカ

はい、来た傑作。俺はこの人生のうちでこの映画をあと何度見返すのだろうか!

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アメリカの学校の新学期は9月から。
中学を卒業して高校1年生になるまでには大きな大きな夏休みがある。

『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』では大学入学前のアホな男子の夏休みを描いています(大好きな映画ですよ)。

一方『アメリカン・スリープオーバー』ではもっと淡々としたコラージュになっています。
しかも、『イット・フォローズ』の監督なだけあってじんわりとずっとホラーのような匂いが充満。

酸っぱすぎる梅干したべると口が痛くなるみたいに、この青春の一夜が甘酢っぱすぎて痛い痛い。。

登場人物は多いけど明確な主役はいない。ものすごく繊細なセリフ、動作、表情の積み重ねでひとりひとりの物語が伝わってくる。
それぞれが「入学前の一夜」で何かを獲得したり失ったり、その両方だったりしていく。

だからこそ、ある少年のことを秘かに思っているのに全くセリフにも動作にも表せずに、結局一歩も前進も後退もしなかったある人物がせつない。。

原題は「The Myth of the American Sleepover」。Mythは「神話」を意味します。それだけに、意識的にこの映画は時代感がない(いつの時代なのかわからなくしてる)し、不自然に大人がいない(1人いるけど寝てる)し、誰か1人を主役にせずに鳥瞰的に全体を見渡した視点になっています。ラストのダンスもまるで神に捧げる踊りのようにも見えてくる。

四コマ映画『アメリカン・スリープオーバー』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2132