フロリダプロジェクト 真夏の魔法

フロリダプロジェクト 真夏の魔法

6歳のムーニーとその母親は貧しく定住する家を失い、犯罪歴もあるため公営住宅にも入ることができず、フロリダのディズニーワールドのそばにある観光客向けの安モーテルで、一週間ずつの家賃ギリギリ払いながら生活している。

ディズニーワールドは見えているし、音も聞こえるし、花火も見えるし、金持ちたちが遊覧するヘリコプターの轟音も1日になんども聞こえて来る。
しかし彼女たちは決してディズニーワールドに入ることはできない。

でも、幼いムーニーにとってはそれがデフォルトだし、冒険に満ちた楽しい毎日を送っていて観光客向けのカラフルな街並み自体が彼女にとってはキラキラしたアトラクションのよう。

ムーニーたち子供目線で映画は進むので、まるで一見楽しい楽しい映画のようにも見える。
が、子供目線を外れたところでは、抜け出せない貧困の恐ろしさが描かれている。

『フロリダ・プロジェクト』オトナ視線👉http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2000 

『フロリダ・プロジェクト』コドモ視線👉http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=1999




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同監督の前作『タンジェリン』も彩度が強い強烈な色彩だったけど、今回も色がとても綺麗。
しかもこれには意味があって、表面的な夢の国の恐ろしさを表現してますね。
実際の街並みのカラーリングはほとんどアホみたいで、、薄ら寒ささえ感じます。

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ムーニーの母もモーテルの管理人(ウィレム・デフォー)もみんな子供たちにはとても優しくて温かい。
これで目に見える形で子供に対してキツイ大人が出て来たら流石に観てられないけど、みんな子供たちのちょっと行き過ぎてる遊びにも叱りながらも寛容だし、本当は社会の底辺にあるこの安モーテル暮らしも子供らに楽しく過ごしてもらえていることは大人たちにとっても癒しなのかもしれない。

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同じくこのモーテルで暮らしているシングルマザーは他にもいて、彼女は近くの飲食店で店長を目指して働いている。
この生活から抜け出したい、息子を真っ当に育てたいという気持ちを持っている。

貧困で犯罪歴があったり、不法移民だったりする人がここに流れ着いて来るのだろう。
日本の貧困も深刻で、いつかは家族でネットカフェで暮らす事例も出て来るのかもしれない。。
一旦そうなってしまうと抜け出せないのが貧困の恐ろしいところ。

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ムーニーの母も悪い人間なわけではないと思います。
長期的、広範囲的な思考が苦手な人なんだと思う。彼女自身まだ子供だし、こういう人いるし、僕だってそうじゃないとは言い切れない。
彼女はムーニーを守るために目先の家賃をニセの香水を売ったりして稼いでます。ムーニーに対しても優しくて楽しい毎日を提供できる人ではある。
こういう人を助け出す仕組みが必要ですよね。。

で、さすがに立ち行かなくなって、自分の尊厳を売ることを決断するわけですが、、その決断をするシーンが印象的。
普段は快楽主義の彼女が夕暮れに野原を見ながらタバコを吸っているバックショット。
彼女の視線の先には枯れた一本の木。細く枝分かれしたその木と向かい合った次の日、彼女はネットに自分の下着姿を登録します。
本当はそこまではしたくなかったけど、彼女にとっては苦渋の分岐点だったのでしょう。

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ここの子供たちはものすごく言葉遣いが悪い。てことは親がこういう言葉遣いをする人たちであることを示してる。
新入りの男の子が来るとモーテルを案内して、「ここの人は足が悪い」とかひとつひとつ紹介して行く。つまり、かなり長い期間ここに住んでいることもわかる。
こういう何気ないところから、子供たちがとても辛い境遇にいるということがジワジワわかって来る。

ムーニーの「あの人そろそろ泣くよ。私、大人が泣く時わかるんだ」っていうセリフも本当にうまい。


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ラストは、ディズニーワールド魔法の国だけあってマジカルですね。泣ける。。

大人はこれがどういうことだかわかるでしょう。
でも子供ならきっと映像に映っている通りに理解するでしょう。
大人と子供で感じていることが違う。つまりはこの映画のテーマをこのラストで、映像のみで表現しています。




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