四コマ映画「田園の守り人たち」






田園の守り人たち
The Guardians/Les Gardiennes





家族構成を理解するのが難しいと思うのでまず明らかにしときます。
前半は「この人は誰の何なの??」って思っちゃうことが多かったので。。

父(すでに死亡)

長男(教師。戦地へ)
次男(戦地へ)
長女
長女の夫(戦地へ)
長女の夫の連れ子
母の兄
手伝いの女性


この8人の物語です。


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映像がとにかく美しい。

背景はほとんどずっとフランスの田舎の広大な畑。と家。と牛。
畑を撮っても、家を撮っても、ずっと全部美しい。

セリフは最小限だし、ホントのこと喋ってるとも限らないんだけど
1915年にタイムスリップした(かのような)俳優さんたちのリアリティゴリゴリの空気感で、バンバン伝わってくる。


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四コマ映画「田園の守り人たち」→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2339


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第一次世界大戦の銃後の様子。
銃後っていうのは、銃の後方。戦地ではない日常生活領域のことなんですね。
(なんとなく戦後の意味かと思っていました。。)

動ける男(と馬)を戦地に取られて
女たちは力を合わせて慣れない畑仕事をがんばります。


1800年代のパリは「女性はズボン禁止」という法律があって(最近やっと撤廃)、
確かに昔のヨーロッパ映画では、雨で事件がドロドロでも女性たちは地面スレスレのロングスカートを履いてる、全員。

それが不思議だったんですが、法律があったんですね。
こんな法律が通るほどの空気だったわけですから
パリに限らず田舎でも女性はスカートを脱げなかったのでしょう。

この映画でも、畑仕事するっちゅーのに地面スレスレのロングスカートをみんな履いてる。
トラクターみたいな大型農機具もロングスカートで乗るんですけど、危ないですよ。巻き込まれたら大惨事ですよ。


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かと言って
「ズボン履こうよ!畑仕事が楽よ!」ってことにならないのが性差別の恐ろしいところ。伝統。しきたり。同調。はしたない。宗教的な縛りもありますかね。


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銃後を守るのは大変でした、というだけの映画かもと思っていましたが、
それは第1部ですね。
話が全部で3部に別れてますが、
第2部で話が展開して、第3部では結構先の方まで話が進んでいきます。

銃後と戦地。男と女。の話から
女と女。古い時代と新しい時代。へとテーマが変容していくので
まっっったく飽きない。


音楽もそんなにないし映像も淡々としてるんですが、
俳優さんの存在感がすごいので
登場人物それぞれの立場での感情が十分に伝わります。


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ちなみに
日本でも成人男性を戦地に奪われ、銃後(戦場の後方。直接戦闘に加わらない一般国民)の経済は女性が担っていました。

短期間で厳しい訓練を受けた女性たちが電車の車掌になって活躍しましたが
終戦後には「代用品」である彼女らは職を追われ家庭に戻されてしまいました。

女性乗務員銃後にて、斯く戦えり―日本女性鉄道員史
https://t.co/ytnGmcKzkO?amp=1


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四コマ映画「田園の守り人たち」→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2339