ネタバレ『サタンタンゴ』



ハンガリーの巨匠タル・ベーラ監督の『サタンタンゴ』(1994)がついに日本公開!
全編モノクロで7時間18分!ななじかんじゅうはっぷん!

途中で2回休憩入ります。
カッコいいフォントで「INTERVAL」という文字がザーンと出てくるので、監督が休憩を勧めてくれているのです。
映画館にもよると思いますが、休憩入れると全部で8時間ちょっとかかります。

ウワサでは「これを観るのと観ないのとではその後の人生が違う」とかなんとか言われてまして
なんかケンカ売られてるような気にもなりまして
公開直後に行きましたよ。

ただ、僕は2回に分けて観ました。。
3部に分かれてるんですが、1部と2部を観て、翌日に3部を観ました。
ごめんなさいね。。でも許してください。全部で7800円払ってますから。。

でも、1回で見れば良かったなと後悔しました。
2日目に3部から加わったときに、1部と2部を連続で観てきた他の観客の疲労感とか謎の仲間意識に疎外感を感じたんです。。
「あ、アイツ金にもの言わせて2回に分けやがったな」という幻聴が聞こえてきましたよ。


仲間意識が芽生えるんですよ。

『サタンタンゴ』を見ることを「survive」と言うようです。俺たちサバイバーだね!という仲間意識があるのです。
流石にもう一回観に行く根性はないので、、僕は「サタンタンゴ」を2回に分けて見たという十字架を背負って生きていくのです。。


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四コマ映画『サタンタンゴ』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2371

『サタンタンゴ』の四コマ映画を描く!までが僕のサタンタンゴでした。

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このものすごい予告編(http://www.bitters.co.jp/satantango/)。全てのシーンがこの完璧な構図で作られてます。
もしこの予告編を見て「すごい!」と思ったのなら、もう大丈夫。絶対7時間18分あなたは眠ることなく最後まで見れます。ずっとこのクオリティですから。


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冒頭、ひたすらに朽ちた農場が横パンで執拗に写されます。どういうことなんだ、と思っていると牛が出てきます。そのあと豚とかアヒルとか出てきます。
これがどういうことなのかはずっっっっっとあとでわかります。

んで、やっと人間が出てきたと思ったら、それは女性なんですが、その女性が衝撃的な行動を取ります。
なんのためにそんなことしてるんだろう、と思ってましたが、それも後々わかります。。「すごいことしてんじゃん。。」

で、基本的に誰が誰かわかりません。誰かがその人の名前を呼ばない限りソイツが誰だかわかりません。

でも大丈夫。7時間18分あるから。いやでも全員覚えます。


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恐ろしいまでの映像力で惹きつけられますし、俳優さんの力ももの凄い。。
本人か!と思うほどの迫力。

ちなみにハンガリーは「東欧では成功した国」とのことで、当時も実際は大繁栄していたようですね。
だとしたらあの実在性はなんなのか、と。あの世界があるとしか思えないリアルさでした。


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つまりは普遍性ということですね。時代や国に依らない。いつでもどこにでも突き刺さる人間の愚かさをグッサリと突き刺してきます。
今の日本にも残念ながら当てはまると思います。
どういうわけだか今日本で25年経ってやっと初公開されるのは、残念ながら偶然でもないし、時期ハズレでもありません。。

もうほんとに怖しいですよ。『サタンタンゴ』を地でやってるなんて。。


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連日満員の大ヒットで、全国拡大ロードショーされますので。
ぜひ一生に一度のイベントとして『サタンタンゴ』観るべきです!


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四コマ映画『サタンタンゴ』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2371





ネタバレは以下に。。
























猫は死んでないようですね。獣医師の監視のもと安全に行われて、その後タルベーラ監督がその猫を飼ったらしいです。
にわかに信じらないんですけど、そうらしいです。。
どう観ても死んでましたし、死んでないにしても、めちゃくちゃ怒る人いそうです(実際動物愛護団体から非難されたようです)。


あと、これもパンフに書いてあって衝撃だったのですが、、この『サタンタンゴ』の大筋は

"労働忌避(働いてない)の罪でイルミアーシュたちは逮捕されたけど、警察のスパイ網を組織することを交換条件にイルミアーシュたちを釈放。
彼らは農民たちに真実を伝えることなく言葉巧みに金を巻き上げて、警察のスパイとしてあちこちに送り込んだ”
という話だったのです!

ハンガリー語学者・元東海大学准教授である深谷志寿さんの解説より引用いたしました。

"「えっ、そんな話だったのか!?」と驚くかもしれないが、この作品ではそのこと自体はあまり重要ではない。”
と優しく言ってくださっています。


僕もこれ読んでびっくりしまして、あの農民たちスパイとして各地に振り分けられていたんだ。。全然本人たちわからないままそんなことになっていたなんて。。確かに「監視しろ」って言われてましたけど。
可哀想に。。騙されて金取られて、農園を買うという夢も潰されて。。。


フタキだけは寸前で逃げましたね。トラックを降りてずっと遠くに背中が消えるまで歩いて行きました。
フタキは最初はイルミアーシュを盲信していましたが、正しく疑う姿勢で真実を見極められました。
人間にとっての希望ですね、フタキは。