映画『ROMA/ローマ』のテーマとは



ROMAローマ 本年度アカデミー賞作品賞&外国語映画賞Wノミネート作。

四コマ映画『ROMA/ローマ』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2203

#AlfonsoCuarón #YalitzaAparicio

彼女は有能な家政婦なのに(家政婦はもう1人いるしね)、アレがガレージに散乱し続けている。

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薄ら寒い映画。。。

ポスターの抱き合っているシーンは本当に薄ら寒い。怖い。

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話は淡々としているようで定期的にとんでもないことが起こるし、ラストへ向かってじりじりと上がっていく。

けど、この映画の描きたいことはたぶんこの映画で描かれてないこと、なんじゃないかな。

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監督の半自伝的な話だとのこと。

てことは、
この映画の主役は家政婦だけど監督の視点は家政婦じゃない。

たぶん家族の次男あたり。

この家族の異常性に気づいた頃の自分。

あの時ウチにいたあの家政婦さんはいったい自分たちをどう見ていたのだろうか、と。
自分たちはあの家政婦さんにずっと何をしてきたんだろう、と
振り返る映画ですかね。

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男たちが広場で空手やった時に
当然みんなメキシコ人なんですが、
(師匠は韓国人)
日本語で「じゅーなな!じゅーはち!じゅーく!」と掛け声を出す。

残念ながら「じゅーく」の次が「さんじゅー!」。。。

オーノー!日本語間違ってんじゃん。。無念。。
と思ったけど、これだけ緻密な映画なんだからこれも計算でしょうね。

言葉の意味もわからずに熱中してやってる滑稽さの表現でしょう。

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人種差別と性差別。
こんな視点で描いた映画は観たことない。

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なんの予備知識もなく観たので
途中までイタリアの話かと思ってました。。ローマだし。

イタリア語じゃなくてスペイン語喋ってるんですね。。

メキシコですね、舞台は。
ローマという地名のようです。

もう1人の家政婦が1971年と言ってた。
クレオの出産予定日は6月。
6月の軍隊と学生デモの衝突は「血の木曜日事件」。


四コマ映画『ROMA/ローマ』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2203


以下ネタバレ











犬のフンは「差別」のメタファーかと。

家政婦クレオは若いけど優秀。もう1人の家政婦アデラもテキパキと仕事をこなす。

でもどういうわけだか駐車場は犬のフンだらけ。

大型犬だけどさすがに半日でもあんなにたくさんフンはしない。
あれはメタファー。

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父親は犬のフンに気づいて、踏んでしまって「うええ、踏んでしまった!」というリアクションをとる。
そして、家を出ていく。

ほとんど存在しないけどこの父親はいい人間として描いたのでは。

犬のフンが見えてるし問題だと感じている人。
その人が捨てた家族。

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父親がフンを踏んだことでやっと奥さんは「フンだらけじゃないの!掃除して!」と家政婦を怒鳴る。

しかしそれ以降、犬のフンについて語ることはない。
フンが見えてないし問題じゃないと思ってる。

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この家族には民族差別が根付いてる。
家政婦の出自は先住民族。

家族はみんなクレオのことを「大好き大好き」と何度も言う。

しかしクレオは妊娠したことで解雇されるのではという恐怖を持っていた。
結構お腹大きくなっても普通に働かされ、
死産のあとにもノーテンキに海へ旅行に誘われて、
「休暇だから働かせないわ」と言いつつ結局カバンをいくつも持たされる。

祖母はクレオの希望もきかずにベビーベッドを〝値切って〟買って〝あげる〟し、
クレオのミドルネームも誕生日も保険についても知らない。

クレオは家族に対して自分の意見や考えなど一切言わない。

クレオを子供を産むつもりがなかったと言った。
こんな状況で子供を産んだらその子が不幸になると思ってたから。

父親になるべき男には逃げられ(木刀と銃を向けられた)、頼れるのはこの家族しかいないけどこの家族は自分を人間として見ていない。

こんな状況では子供は産めない。

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子供を産みたくなかったと、はじめて自分の気持ちを吐露したクレオを
家族たちは「わたしたちはクレオが大好きよ」と言って抱きしめる。

いやいや、原因お前らだから!

それがポスターの写真。

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帰りの車で下の子供2人は無垢な心でクレオに抱きつき眠る。

上の子供2人は全然窓の外をガン見したまま。

クレオによって兄妹の命が救われた直後だと言うのに。

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家に帰ると休むことなくクレオは大量の洗濯をし始める。

今にも崩れ落ちそうな細い鉄の階段を登って屋上へひとりで向かう。

さっきクレオは兄妹の命を救った。
さっきクレオは初めて自分の気持ちを吐露した。
さっきクレオと家族たちは抱き合った。

なのに結局クレオはひとり。
誰の視界にも入らない場所へ行く。