映画『マイ・ビューティフル・デイズ』ネタバレ&あらすじアリ









「今年のベスト!」という人もいるとのこと。
それもわかります。小さいけどとてもいい映画です。


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冴えない私がティモシー・シャラメに恋されちゃって困っちゃうぅ!
みたいな宣伝になっていますが、この映画が言いたい主題はそれとは違います。


マジメな高校教師がティモシー・シャラメに言い寄られて困るってのは、確かにこの映画の大きな出来事の一つですが。


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四コマ映画『マイ・ビューティフル・デイズ』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2417



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29才。
もちろんコドモじゃないけど、全然オトナにもじゃない。

教師という仕事をマジメに取り組んで
生徒とも一人一人真正面から向き合って
正直に正しくあろうと努めてきたスティーヴンスさん。

彼女は、演じるように生きている人。

外ではしっかりした人で通してるけど、
誰にも見られない部屋の中では下着姿でウロウロして、服も脱ぎっぱなしで散らかっていて、酒飲みながらスマホいじってる。
等身大の自分と「教師」の自分が大きく乖離した人。

ほとんとの人間はたぶんそう。
理想の自分と今の自分が全然違う。


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ある週末。
演劇部の遠征の引率をしなきゃいけなくなって
自分の車で生徒3人と遠い街まで二泊三日の旅に出る。


ティモシー・シャラメを含めた一筋縄ではいかない生徒3人と
達観したような先輩教師らとの交流を経て

今まで生徒たちに見せたことのなかった不完全な自分の姿や
憧れだった母の死と向き合う。


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ものすごく大きな事件なんて一切起きないし
大きな変化も起きない。

でも
人生のすごろくを1マスだけ進める。

そんな週末を描いた素敵な映画でございました!


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こういう映画の場合、俳優さんの演技が一番大事です。

先生を演じたリリー・レーブさんの演技が素晴らしい。
この演技でサウスバイサウスウェスト映画祭の最優秀女優賞を獲ってます。

ティモシー・シャラメももちろんさすが。
行動障害を持った少年をスターオーラ放ちながら演じてます。



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ある程度、年齢を重ねていて
ある程度、映画を観てきた人なら
観て後悔のない映画だと思いますよ。



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四コマ映画『マイ・ビューティフル・デイズ』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2417



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ネタバレっていうかあらすじは以下に。















演劇を見る女性。後ろ姿。
拍手。終わってみんな帰っていく。女性は立ったまま。

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女性はスティーヴンス。29歳。高校の教諭。
部屋は結構散らかっている。酒を飲みながら金曜の夜を一人で過ごしている。

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授業で生徒に語る。
「学校に収容されている。強制じゃないけど通わなきゃいけない場所ね。本当の自分ではいられないでしょ」

授業中にビリーが問題を起こす。

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「あの子には行動障害があり、両親と義授爵している。旅行中は薬を自分で飲まなければならない」と校長。

授業の後、スティーヴンスは演劇部の3人を演劇大会に引率しなければならない。
スティーヴンスの車で3人を乗せて、2泊3日の旅。

行動障害のあるビリー。ビリーはスティーブンスに憧れている。
演劇が大好きなマーゴット。
陽気なサム。サムはゲイ。


問題はビリーの行動障害と、ビリーの追試。


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「芸術科目が減って発表の場がなかったから、引率していただけて感謝です」とマーゴット。


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道中。車がパンク。
「整備不良の車に生徒を乗せたの?」とマーゴット。

思わず汚い言葉が出てしまうスティーブンス。「ごめんなさい、学校では自制してるのに。」

JAFみたいなのを呼んで車の修理をしてもらって、ドライブ再開。


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ステレオからアメリカというバンドの曲が流れる。
「古い曲ばかりですね」「父親が聞くような曲だわ」

スティーブンスは29歳。幼い頃母親が聴いていた曲を好きになり、今でも聴いている。

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遅刻したが、会場に到着。ホテル。

ホテルのレストランで3人で食事。
スティーヴンス語り始める
「私も学生時代演劇をやってた。『じゃじゃ馬ならし』。演劇中に女子にキスされたの。校長に怒られたわ。それが最後の演技だったわ」

「早く出ましょう。また遅刻します。」とマーゴット。


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開会式。代表みたいな人が演説をする。
そして前夜祭。
酔って踊るスティーヴンスをじっと見つめるビリー。

別の学校の演劇部を引率してきた男性教師ウォルターがスティーヴンスに近寄る。
「お邪魔かな」

少し会話してから
「君は雑談が苦手なようだね」とウォルター。
「大人との会話を忘れちゃった」
「僕は妻と話すから忘れない」
「ボーンッ」
「?」
「妻なんていうから爆弾落としたの」

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ビリーに美女が近づくが、ビリーは逃げる。

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ウォルターの部屋。ベッド。スティーヴンス、下着姿。セックス後。

「それにしても若いね」とウォルター。
笑い転げるスティーブンス。
「どうした?」
「気にしないで」


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スティーヴンス、部屋に戻る。

回想シーン。
「高慢と偏見」を題材にした授業のシミュレーション。
鏡を見ながら授業の練習をしている。まるで演劇をするかのような授業。

下着姿で部屋をウロウロ。スマをいじったり。いつもの完璧な教師の姿ではない。


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翌日。タイヤの修理のために隣町へ行く。ビリーもついてきた。

車内。
「子供の頃に聴いてた曲が好きなの」
「先生はレズビアン?」
「はい?」
「ごめん、不適切だった。レずビアンじゃないよね」
「それも不適切よ。私はレズビアンじゃない。悪いことじゃないけど」
「サムはゲイだ。去年教えてもらった。サムには友達が多い。僕には少ない」
「私にも友達は少ない。なぜこんな話に?」
「さあ」

車修理完了し、ホテルに戻る。


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本当はこの時間にリハーサルをしていなきゃいけなかったのだが、ビリーがそれを隠してスティーヴンスについてきていた。

ホテルに戻るとマーゴットが怒ってる。
「また遅刻?」
「ごめんなさい」いつもなら遅刻なんてしないスティーヴンス。

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演劇大会の予選。舞台でマーゴットが「欲望という名の電車」のワンシーンを一人で演じる。
が、セリフが飛んでしまう。客席からは失笑が。
マーゴット、走って逃げる。トイレへ。
スティーヴンスが追いかける。

「練習したのに、忘れるなんて最低」
「でも立ち直る。今じゃないけどいつか立ち直るわ」
「才能ないの私。ビリーはきっと入賞する。ビリーは才能豊かで、学校はこの遠征にお金を払おうとするわ」

みんな知らなかったが、今回の遠征はマーゴットの両親が費用を払っていた。
「あなたは学校に芸術を取り戻す義務があるわ」とスティーヴンス。

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夕食。4人でレストランに。ビリーとサムは予選通過し、明日本番。

マーゴットが根掘り葉掘りスティーヴンスに質問する。
「なんなの?マーゴット」
「レイチェルに失礼だ!」とビリー。
「レイチェル?ミス スティーヴンスと呼びなさい」とスティーヴンスは怒る。
空気を悪くしたスティーヴンスは一人先に出る。


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ウォルターの部屋を訪ねる。ウォルターはセクシービデオを見ていた。
「あ、僕には妻がいるんだ」
「いまさら?」
「僕は酒を飲みながら続きを見て明日には妻のもとに帰りたい」
無言で部屋を出るスティーヴンス。

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自室。ベランダ。スティーヴンス。
ノックの音が聞こえたのでドアを開けるとビリー。
「今日はみんな変ね」
「夕食食べてないでしょ」とお菓子を持ってきたビリー。

ビリーは廊下で他のドアのノックして回る。問題行動。
それを止めるためにスティーヴンスは仕方なくビリーを自室に入れる。

「悲しまないで!」「悲しくない!悲しくない!」
二人でベッドで跳ね回る。
部屋やベランダを走り回る。

「彼氏は?」「いない」
「心が傷ついたことは?」「母の死よ」

母は女優だった。若い時には大作に出た事があったくらいの女優。
離婚し母と二人暮らし。生活のために女優はやめた。
私が大きくなると仕事をやめて演劇を再び始めた。
私は母であることを忘れるくらいに女優としての彼女に熱中した。
他のキャストはみんな男。母はみんなをまとめて引っ張っていた。
ある男のセリフを聞いてから笑うシーンがあった。
母は笑った。いつもの笑顔だった。

スティーヴンスは泣いてビリーと抱き合う。
正気に戻ったスティーヴンスはビリーを部屋から追い出そうとする。

そこにノックの音が。
サムが入ってきた。
次にマーゴットが。

サムは知り合った男に冷たくされたらしい。
「世の中イヤな人ばかりよ。素晴らしい人もいるけど、大概違う。でも私たちは味方よ」とスティーヴンス。

ビリーは怒って部屋を出ていく。


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翌日。演劇本番。

ビリーの演技。めちゃくちゃうまい。ティモシー・シャラメだもん。

「これが僕だ!なりたくない人間になるのか!僕はつまらない人間だ。あんたもだ!」
圧倒される客席。


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ビリーとスティーブンス。廊下で会話。

「舞台上で、先生が隠してきた気持ちを表現したんだ。僕は先生の悲しみを癒せる。一週間前から薬も飲んでない。薬を飲んだら抜け殻だ。悲しみか抜け殻しかない」

スティーブンス、ビリーが薬を飲んでいないことを知る。
スマホで電話をかける。

「何を?」
「私は教師よ」
ビリー、その場から去る。

電話が校長につながる。
スティーブンス、どもりながら校長にビリーのことを告げる。


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外に出るとウォルターがいた。二人でタバコを吸う。
「教師でいることは禁煙より難しい。僕だって真剣に働く。でも生徒とは一線を引く。内面まで見ることはできない」
「線を?目の前にいるのに?」
「大事なのは自分の子だ」
「子供いるの?」
「あぁ」

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表彰式。ビリーは2位。
自分の気持ちを表現したビリーが喝采を浴びる。

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帰り。車を出す直前。
サムに謝る男。ローズという男。
サムは嬉しそうに踊る。ビリーもみんなも嬉しそう。

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ドライブの途中休憩でビリーがタバコを吸う。
「喫煙はダメね」とスティーブンス。

「ビリーは追試を受けたの?」とマーゴット。
「追試を持ってくるの忘れたの」とスティーヴンス。

受けさせなければいけないビリーの追試のプリントを持ってくるのを忘れていた。

「先生、うろついていいと思いますよ。嘘をつく事がただいいこともあります」とマーゴット。

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マーゴットが設問を朗読し、ビリーが回答。
スティーヴンスが採点。Bマイナスで合格。みんな喜ぶ。

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みんなそれぞれの家へ。

「薬のことを両親に話しなさい。両親を頼るのよ。そのための親よ」
「先生も誰かに頼るべきだ」
「頼れる母はもういない。でも進むわ」


終わり