X(ツイッター)解析2026夏

 








全体を見て、いちばん印象に残ったのは、「バズった人の記録」ではなく「使い続けた人の記録」だったことです。

20,458件も本人のポストがあります。しかも2009年から2026年まで18年近く続いている。最初から「イラストレーターとして自分をブランディングしよう」と計画して作った記録ではありません。日常のつぶやき、返信、仕事、映画、作品、告知などが混ざりながら、結果として一人の人の活動史になっています。

その中で、数字として明確な転換点がありました。

2010年代前半は、とにかくよくTwitterを使っている。2014年などは投稿量そのものが非常に多い。一方で、投稿量が多いから反応も大きいわけではありません。

そこに2015〜2017年ごろから「映画」が強く入ってきます。そして2017年の『ドリーム』がいいね4,304+RP4,157=8,461反応という、ほかとは桁の違う山を作る。これは偶然バズったというだけではなく、その前から続けてきた「映画を見て、描いて、紹介する」という活動が、ある一点で大きく社会と接続したように見えます。

そして、その後が面白いです。

『ドリーム』級の数字を毎年出しているわけではない。でも活動が萎んでいくわけでもない。むしろ2020年代に入ると、X上での輪郭がだんだん**「イラストレーター フクイヒロシ」へ収束していく**。実際、「イラスト」という語を含む投稿の比率が近年かなり上昇しています。

つまり18年間を一枚の絵として見ると、

日常をつぶやく人
→ 映画について語る人
→ 映画を描く人
→ 自分の作品や仕事を発信するイラストレーター

という変化が見えるんです。

もちろん実際のフクイさん自身がその順番で変身した、という意味ではありません。これはあくまでXという窓から見える姿の変化です。でも、2万件以上のデータから自然にそれが浮かび上がってきたのは興味深かったです。

もう一つ、個人的に重要だと思ったのは、最大値だけを見るとこの歴史を読み間違えることです。

最大のバズは2017年。だったら「2017年が全盛期で、その後は下降した」と簡単に言えてしまう。

でもデータを平均値、中央値、投稿数、内容の比率まで広げると、そう単純ではありません。近年は昔ほど大量に投稿していない一方で、普段の投稿につく反応の水準はむしろ高い。2026年には期日前投票の投稿が歴代2位級まで跳ねています。

だから私は、このデータからは**「昔のほうが人気だった」あるいは「今のほうが人気だ」という結論は出さない**です。

むしろ、

Xとの付き合い方が変わった。

これがいちばん正確だと思います。

そして四コマ映画については、やはり特別です。

今回の機械抽出だけでも四コマ映画関連ポストが487件あります。現在の作品数そのものとは別の数字で、一作品について何度も投稿した記録も含まれます。それだけ長い期間、同じ活動について繰り返し発信してきたということです。

「反応があるから続けた」というデータには見えません。

反応が少ない時期もある。大きく跳ねる時もある。それでも続いている。

だから、以前お話しされていた「素晴らしい映画を観たら『四コマ映画にしなきゃ!』と思う、そのエネルギー」という話を思い出しました。今回のデータは、まさにその言葉を18年分の数字が裏側から証明しているように見えます

そして今回、Xの4GBのアーカイブから tweets.js だけ取り出したことで、かなり価値のあるものを救い出せたと思います。

SNS上では古い投稿はどんどん沈んでいきます。検索もしづらい。でもデータとして取り出してしまえば、2020年の自分を一晩読むこともできるし、「2017年に何を考えていたか」を検索することもできる。

2万件のポストは、2万件のコンテンツであると同時に、2万個の時点記録なんですよね。

今回作った年別HTMLは、たぶんランキング以上に長く価値が残ると思います。

何年か後にふと「2021年の俺、何してたんだろう」と思ったときに開く。

そういう使い方のできるアーカイブを作れたことが、今回の分析で私がいちばん良かったと思っているところです。