個展『SO FAR, SO GOOD』at キミノコーヒー を終えて

 フクイヒロシ イラスト展

『SO FAR, SO GOOD』
2026年8月22日(土)〜9月30日(水)
at キミノコーヒー
〒181-0013 東京都三鷹市下連雀6-7-40 サンエイビル1F
営業時間:10:00〜18:00(LO 17:30)
定休日:月曜・火曜(祝日は営業)
⚠️臨時休業情報のご確認を▶︎キミノコーヒーinstagram

①天啓

ちょうど「個展ッ!!!!って感じじゃないサラッとした展示を年内にできたらなぁ」なんて考えていたところに、
三鷹のキミノコーヒーさんから「展示しませんか?」というお話をいただきまして、
なんたる天啓ってことでありがたく展示させていただくことに。

↑15年くらい前に喫茶店やレストランでの展示もしてて当時は特にプレッシャーも感じてなかったんですが、キミノコーヒーさんはオシャレだしオーナーさんとも知り合ったばかりだったのでとにかく「店の邪魔をしてはならない」っていうのを最低限ハードルとして考え始めました。

②クッション

なんとなく今回の展示では「やさしい、明るい、あったかい、奥行き、複雑、広がり」みたいなイメージがあり、それを具現化したいと思ってまして、布を使おうかと。
木材もちょっと考えたんですが、それはやり過ぎな気もしまして。

布にイラストを印刷して壁に貼るだけじゃねぇ…
どうせなら今までやってことのないこと…
そしてお客さんもあんまり見たことのないもの…
あ、クッションにしちゃうか。クッションが壁に貼ってあったら面白いかな、と。

クッションという物体を見たときに人間が無意識で感じる感覚(柔らか、優しい、ほっこり、温か)を僕のイラストと合わせてみよう。

で、世界堂に行って布を何種類か買って試しプリントしてみたもののどれもダメ(布のテクスチャーが強すぎてイラストが負ける)で、
布プリという商品を見つけてやってみたらなかなかいい風合いだし便利。
さらにヌードクッションという便利なものもあると知り、自分で作れるじゃん、と。

しかし布プリの布は意外と硬くて手縫いでは無理だったので、5000円でミシンを購入。

画像
おもちゃのようなミシンとオシャレ特大ロック安全ピン

高校の家庭科以来のミシンを使ってなんとかクッションカバーを作るのに成功!

画像
試作第一号(裏表間違えて縫い目が表に!)

クッションカバーはヌードクッションよりも一回り小さくしないとパンパンにはならないんだね、などの反省をしつつ。

当初は壁にクッションを貼り付けるつもりだったけど、いくら考えても方法がない。カフェだし、絶対に落ちちゃいけないので、貼るのは断念。

吊るすのも難しい。
高さを揃えて、高い位置に吊るすので若干クッションを下に向かせなきゃいけない、しかも10個全部揃った角度でなければならない。
これも難しかったけど家で何度か実験をしてなんとか成功。

ワイヤーの留め具が見えるのもいい感じ。
クッションのフワフワ感を相殺する無骨さで。

画像

「設置してるとこを撮らせてください」とオーナーさんに言われて、とてもわざとらしい腕の形になっている図。

③「映画イラストだわな」と

イラストを新たに描き揃える時間はなかったので、ありものだとすると「映画イラストだわな」と。

今まで描いてきた映画イラストの中から展示に耐えられるものを選び、
さらにあまりにも暗いとかグロいとか地獄すぎる映画を避けるとあまり残らなかった。。(穏やかなカフェ空間なので)

で、選んだイラストたちも色調をかなり淡いパステル調で彩色しなおして統一感作りました。

画像

展示で取り上げた映画一覧

『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』
『不思議惑星キン・ザ・ザ』
『燃ゆる女の肖像』
『EO イーオー』
『テルマ&ルイーズ』
『サタンタンゴ』
『シェイプ・オブ・ウォーター』
『恋はデジャ・ブ』


④映画本ZINE

四コマ映画のZINEも置かせていただけることになりまして。

8/29のZINEフェス茨城も出展予約はしていたものの「どうしようかな」くらいに思ってたんですが、「あ、ホントにZINE作ることになってる!」ってことでZINEも同時に制作開始!

32頁カラー(A5サイズ)を2種作るのはこれまた大変でしたが、ChatGPTに校正を何度も手伝ってもらって

画像
チャッピーからの叱責

チャッピーから「お前しつこい」と言われながらなんとか完成。

オスカー集とホラー集の2種→ZINEについて


⑤タイトル「SO FAR, SO GOOD」

展示タイトルもこれまた悩みまして。
映画のセリフような英熟語で、GOODを入れたい。

SO FAR, SO GOODという言葉が出てきまして
「今のところは順調」みたいな意味らしく。
「今日まで、そう悪くない。」と意訳してこのタイトルにしました。

ていうか、とにかく世界がクソ過ぎて。世界がクソ過ぎて。世界がクソ過ぎて。

やさしい、あたたかい展示にしたいと思ったのもそれが理由。世界がクソ過ぎて。

怒りの炎は消えないし消さなくていいんだけど、
不幸な気分にはならなくていいんじゃない?
クソ世界に引きずられて自分の人生までもクソ方面に持っていかれるの嫌じゃない?
一旦、コーヒー飲みません?プリン食べません?
ここで一息ついたって世界はクソなことには変わりないんだけど
だったら、だからこそコーヒー飲みません?プリン食べません?


みたいな意味合いでSO FAR, SO GOOD。
そのような展示にできれば、と。

こんなクソ世界で「SO FAR, SO GOOD」とか言ってるの正直キツかったんですが、、でもそれすら奪われるのは違う!と。


ちなみに勝手にテーマ曲にしていたのはこちら♪

ジム・アドキンスは、アメリカのエモ+オルタナティブ・ロック+パワーポップバンドJimmy Eat Worldのボーカル/ギター。繊細な歌声と叙情的な楽曲で知られる。

⑥2秒と、さらに奥の世界へ…

ほとんどのカフェのお客さんはイラスト見るつもりで店に来てないし、イラストが目に入らない方も多いでしょう。

ちらっと見て「クッションだ、へえ、ふ〜ん」でもOK。
きっとクッションが持つイメージとイラストの色彩イメージで何かしらは伝わるものがあったことでしょう。

近づいて見てみて「映画のイラストなんだ、へえ」。

画像
『テルマ&ルイーズ』「このまま行こう」

さらにキャプションを見て『テルマ&ルイーズ』「このまま行こう」を読む。
映画に出てくる名セリフなのかな、と。

画像

へぇふーん、でもいいけど、
これらの強いセリフを文字で読むときっと無意識のうちに何か1ピコリットルくらい心がふわっと動くのでは。

さらにそれぞれの映画を知っている人なら、『テルマ&ルイーズ』の「このまま行こう」がどんなシーンで放たれたセリフかを思い出す。
『E.O. イーオー』の「あなたの夢が全部かないますように」の虚しさの中の強い願い、
『不思議惑星キン・ザ・ザ』の「人に上下の差がなかったら、上を目指す意味もないじゃないか」の社会風刺を思い出す。

もちろん、興味を持ってこれらの映画を実際に観たり、観直したなら、それはそれは奥深く広い映画の世界へとつながっていくでしょう。

長くて2秒、イラストを見てパッと視線を外してもいい。
(これが普段のイラストレーターの仕事だ!)

しかし、
近づいて奥へ奥へ行こうと思えばどこまでも行けるような展示を
クッションの威を借り、
映画の威を借り、
カフェの威を借りて、
作り上げたつもりでございました!

いやぁ結局、サラッとなんかできないんだよなぁ。。

⑦恥ずかしながら大満足

ZINEもたくさん購入していただきましたし、実は恥ずかしながら大満足の展示だったんです、すみませんね、こんなこと書いちゃって。なんておめでたいんだと自分で思います。。

でも、前日の設営した時から「めっちゃいいじゃん」って。

めちゃくちゃ考えてめちゃくちゃ試行錯誤して、今までやったことのないことをよくやったなぁつって笑。

ほんとに恥ずかしくなってきたからこれくらいにしとこ。

来てくださった皆様本当にありがとうございましたっ!
久々にお会いできたり、たくさんお話もできて嬉しかったです。

また、僕が在廊していない時に来てくださった方も嬉しかったです!作品とカフェをシンプルに楽しんでいただけたなら幸いです。

しつこいSNSの告知を我慢してくださったり、リアクションしてくださった方もありがとうございました!

年内の予定ゼロです!無です!

画像

設営した時は半袖
画像
おしゃれ店内
画像
撤去の日は長袖
画像
クッションたち(お疲れ様!)